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2016年 年 頭 所 感


年 頭 所 感

一般社団法人 日本金型工業会  会長

牧 野 俊 清                

平成28年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。

‘08年9月のリーマンショック、円高、‘11年3月の東日本大震災が、日本経済を苦しみ続けました。特に円高は’07年6月1ドル124円だったのが、’12年2月には76円と高くなりましたが、アベノミクスによって昨年は120円前後で安定しており、12月は123円を超えています。金型の国内回帰も一部始まっています。

リーマンショック後に金型生産額は一時6割と厳しい状態でありましたが、微増が続き、8割までに戻しています。型種、需要業界の違いもあり、会社によって、業績は様々のようですが、機械統計では、鍛造専業金型がリーマンショック前の約2倍であり、ゴム専業金型が昨年の1.8倍、大型プレス専業金型も活況です。

昨年は、日米豪など12ヶ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大筋合意と韓国・台湾の参加表明があり、COP21による温暖化対策の進展、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題、ISによるテロと空爆と大きなニュースが続きました。また、安倍内閣では、経済成長のため法人税の低減と、(金型も含まれる)設備投資の増加を方向づけようとしています。

2016年の干支(えと)は丙申(ひのえさる)です。昨年は乙未(きのとひつじ)で、木が土に対して将来のため根を張るため、思い通りには行かないイメージだったそうですが、今年は、陰陽五行では、十干の丙は陽の火で「明らか」という意味があり、十二支の申は陽の金で、「樹木の果物が熟して固まっていく様子」という意味であり、これまでの努力が形になっていくという期待が持てる年だそうです。 事実、この前の丙申は、60年前の1956年(昭和31年)で、神武景気と言われた時期です。今年の日本経済の発展と、金型業界の好況を、切に祈るものです。

一昨年3月、日本金型工業会で「新金型産業ビジョン」の作成をしました。①技術力、②営業力(発信力)、③新分野への展開と付加価値向上、④海外市場とグローバル展開、⑤人材(経営者・社員)がキーワードですが、今年こそ、たわわな実をつける年ではないかと思います。

昨年、国際金型協会(ISTMA)の総会に、オブザーバー参加された方から、教えていただいたのですが、ドイツの金型研究機関の調査では、金型の技術力は、1番ドイツ、2番日本、3番スイス、4番韓国、5番カナダであり、市場規模では1番中国、2番アメリカ、3番日本、4番ドイツ、5番韓国だそうです。我々日本の金型は、品質、納期、価格において世界トップレベルの技術と技能を有しているものと自負しておりますが、それは決して金型メーカーのみによるものではなく、金型材料・工作機械・熱処理・表面処理など日本が誇る世界一の周辺産業の支援によるものでもあります。技術力面では、ドイツがインダストリー4.0として取り組んでいますが、日本においては、産(金型業界+顧客+賛助会員を初めとした金型周辺産業)・官・学(大学・研究所)がさらに協力することにより、世界トップレベルを維持しなければなりません。

日本金型工業会は、現在、会報・ホームページのリニューアル等、サービスの拡充を進めております。真に全国組織としての工業会を目指し、金型シンポジウムを一昨年の九州地区、昨年の北陸地区に続き、本年は東北地区で第3回として開催を計画しております。全国からのご入会が増え、金型業界がより活性化することを期待しております。

緊急事態が続く今年においても、繰り返しになりますが、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素形材産業室始めとした監督官庁、学会の大きな応援により、この難局を、「元気な業界」として乗り越えていきたく思う所存でございます。皆様のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。

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